
選挙の「告示」と「公示」は何が違う?通常選挙・補欠選挙の違いもわかりやすく解説
選挙のニュースでよく出てくる「公示」と「告示」という言葉。
どちらも「選挙が始まったことを知らせるもの」ですが、実はしっかりと使い分けられています。
しかも、同じ国政選挙でも「通常選挙」と「補欠選挙」で使う言葉が変わることをご存じでしょうか?
この記事では、「公示」と「告示」の違いを基礎から丁寧に解説しながら、補欠選挙や地方選挙との違いにも触れていきます。
「公示」と「告示」の違いをざっくりと
用語 | 対象の選挙 | 発表主体 | 法的根拠 |
---|---|---|---|
公示 | 衆議院・参議院の通常選挙 | 内閣総理大臣(詔書) | 憲法第7条、公職選挙法第32条など |
告示 | 地方選挙、国政の補欠選挙・再選挙 | 各選挙管理委員会(中央 or 地方) | 公職選挙法第33条、第106条など |
「公示」される選挙とは?
該当する選挙
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衆議院議員総選挙
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参議院議員通常選挙
誰が行う?
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内閣総理大臣が天皇の国事行為として**詔書(しょうしょ)**を出すことで公示されます。
憲法第7条:「天皇は内閣の助言と承認により、衆議院を解散し、総選挙を公示する」
実務を担うのは?
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中央選挙管理会が、詔書に基づいて日程や手続きを執行します。
例
2021年衆議院選挙は10月19日「公示」、投票日は10月31日
「告示」される選挙とは?
以下のような場合に「告示」が使われます:
① 地方選挙
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都道府県知事選挙、市区町村長選挙
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地方議会(県議会、市議会など)
② 国政選挙の補欠選挙・再選挙
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欠員が出た際に行われる衆議院・参議院の補選・再選挙
発表するのは?
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地方選挙: 各自治体の選挙管理委員会
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補欠・再選挙: 中央選挙管理会
なぜ補欠選挙は「告示」なのか?
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通常選挙のように天皇の詔書を伴わないため。
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公職選挙法では「補欠選挙は選挙管理委員会が期日を告示する」と規定されています。
例
2023年4月23日実施の衆議院補欠選挙(和歌山1区など)は中央選挙管理会による「告示」
まとめ:「告示」と「公示」は使い分けが必要
比較項目 | 公示 | 告示 |
---|---|---|
対象 | 衆・参の通常選挙 | 地方選挙、補欠・再選挙(国政含む) |
発表主体 | 内閣総理大臣(詔書) | 各級選挙管理委員会 |
法的根拠 | 憲法第7条、公選法第32条 | 公選法第33条ほか |
実務 | 中央選管が実施 | 中央 or 地方選管が実施 |
おわりに:違いを知れば選挙報道がよく分かる
「この選挙は公示された」「これは告示か」――
そうした違いを知っておくだけで、ニュースの理解力が一段と深まります。
投票は民主主義の基本。
選挙制度の仕組みを知ることで、自分の一票にもっと意味を感じられるようになるはずです。