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【今さら聞けないGHQ 】第4回:GHQは“言論の自由”を守ったのか?検閲・焚書・プレスコードの実態とその影響

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◆ 今さら聞けないGHQシリーズ(全5回)
この記事は、戦後日本に影響を与えたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の歴史と制度的影響を整理する 今さら聞けないGHQシリーズ の第4回です。各回を順に読むと当時の制度や社会変化がよく理解できます。

はじめに

〜検閲・焚書・プレスコードの実態とその影響〜

GHQが日本に持ち込んだ価値観の中核に「民主主義」と「言論の自由」があります。
しかし皮肉なことに、戦後初期の日本では「言論の自由の名のもとに言論統制が行われていた」のです。

「自由な社会をつくるために、まずは危険な発言を抑える」
これは正義だったのか、それとも矛盾だったのでしょうか。

今回は、GHQの情報政策・言論統制の実態に迫ります。

GHQはなぜ言論を統制したのか?

戦後日本では、戦前の軍国主義や国家主義を支えたメディアの影響力が強く警戒されていました。

GHQが言論統制を行った背景には、次のような狙いがありました。

GHQの狙い

目的 内容
再軍備・国家主義の再燃防止 天皇神格化や戦争正当化の言説を封じ込める
米国批判の抑制 占領政策やアメリカ文化への批判を回避する
共産主義・社会主義の監視 冷戦下での反米的思想の拡大を防ぐ
民主主義教育の推進 民主的価値観を浸透させるための情報コントロール

実際に何が行われたのか?――3つの主要政策

① プレスコード(1945年)

GHQが日本の新聞社・出版社に配布した「報道禁止項目リスト」です。
表向きは表現の自由のガイドラインでしたが、実質的には検閲マニュアルでした。

禁止された主な内容(一部)

  • GHQや連合国への批判
  • 占領軍兵士による犯罪報道
  • 戦争責任問題(特に天皇制)
  • 共産主義・社会主義の礼賛
  • 原爆・空襲の被害実態(広島・長崎)
  • 食糧危機や貧困の実態

つまり、「GHQに都合の悪い情報は出してはいけない」という指示が明文化されていたのです。

② 検閲制度(Civil Censorship Detachment)

新聞・雑誌・ラジオ・映画・手紙など、あらゆるメディアが事前・事後の検閲対象となりました。

媒体 内容
新聞・雑誌 GHQ批判や思想的に問題とされた記述の削除
書籍 発行前審査・発行後の発禁処分
手紙・電報 外国との通信は原則すべてチェック
映画 シナリオ段階から提出、上映前に最終審査

冷戦が本格化すると、左翼的とみなされた表現は特に厳しく弾圧されました。

③ 焚書――知識そのものの消去

GHQの方針に反すると判断された約7,000点以上の書籍が、没収・廃棄されました。

  • 軍国主義・国家主義の思想書
  • 皇国史観が色濃い教科書
  • 天皇を神格化する宗教書
  • ナチスやソ連を賛美する外国文学

これにより、戦前に蓄積された一部の知的資産は図書館から姿を消しました。

言論統制の結果と影響

成果(GHQ側の視点)

  • 民主主義・平和主義を短期間で浸透させた
  • 急進的思想を抑制し、占領統治を安定させた
  • 戦前的ナショナリズムの再発防止

問題点・副作用

問題点 内容
自由の名による統制 自由を守るために自由を制限するという矛盾
自主検閲の定着 権力に忖度する報道姿勢が根付いた
記録の空白 原爆被害などの検証や支援が遅れた

具体的事例:沈黙させられた原爆報道

原爆被害の研究や報道は、米国にとって戦争犯罪批判につながる恐れがありました。

  • 写真誌『LIFE』の被爆写真は公開差し止め
  • 日本人記者の被爆地取材記事は削除
  • 長崎の宗教施設被害報道は焚書対象

おわりに

GHQは「自由な社会」をつくるために、最初に言論を統制しました。

この「自由のための統制」という感覚は、戦後日本の報道姿勢や空気感に今も影を落としています。

現在のメディアや政治的発言を考えるうえでも、この歴史を知ることは重要です。

次回予告

次回【第5回(最終回)】では、GHQ占領政策の総まとめとして、
何が変わり、何が残ったのか――その功罪と戦後日本への宿題を考察します。